2009.12.20(Sun)
未完の首都・ベルリンの魅力とは?
今月号の『クーリエ・ジャポン』の特集はベルリンの壁崩壊20周年にちなんで、「新世紀ベルリンー壁とアートと接吻ー」です。ベルリンの壁に描かれている有名なグラフィティが表紙に使われ、またまたセンスの良さを見せつけられた感じです。
COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン) 2010年1月号

自分とドイツとの接点といえば……、恥ずかしながら、大学の第二外国語で「単位が取りやすいから」という理由でドイツ語を取ったくらいでしょうか。
ベルリンの壁が崩壊した1989年は、私はまだ小学6年生でした。壁が壊される様子をテレビのニュースでなにげなく見ていたことはうっすらと思い出されますが、この壁がなぜできたのか、壁崩壊がいかに歴史的に重要な出来事だったのかということは、(おそらく歴史の勉強で学んだとは思うのですが)、頭の中からほとんど忘れ去られていて、あまり深く考えることがなかったように思います。
そんなまったく予備知識のない人にもわかりやすくまとめられていたのが、今回のベルリン特集でした。
まず、ドイツをこよなく愛しているという茂木健一郎さんの現地レポートとともに、ベルリンの壁ができ、壊されるまでの一連の出来事が年表で記されています。次のコーナーにあった、実際にベルリンの壁がどうなっていたのかという図解はとても衝撃的でした。壁の東ドイツ側には、鉄の針が埋め込まれたマット、バリケード、軍用犬、有刺鉄線、信号弾など、幾重にもわたって厳戒な警備体制が取られていたようです。
こんなすごい壁を超えて逃亡した人はどれくらいいたんだろうか、と興味をもってWikipediaで調べてみました。
すると、東ベルリンから壁を越えて西ベルリンに行こうとして東独国境警備隊により射殺された人は192名。一方で、壁の通過に成功し、生きて西ベルリンに到達した人は5000人を超えるのだそう。思っていたより多くてびっくり!
西ドイツは、東ドイツ国民も本来は自国民であるとの考えから、政治犯を「買い取って」いたので、東ドイツ国民であれば「壁を越える」という方法を採らなくても「西ドイツに行きたがる政治犯」として逮捕されれば犯罪歴等がない限り、西ドイツに亡命できる可能性はあったのだそう。
住みたい国を選ぶこと自体、命がけのことだった、それがたった20年ほど前に普通に起こっていたとは……。信じられませんね。
また特集では、崩壊後にもさまざまなかたちで残っている「壁」についてもまとめられています。
何があったのかを後世へと伝えていくために「新たな壁」をつくる壁修復プロジェクト、「人種の壁」では現代もなお続くユダヤ人狩り、「経済の壁」では統一後も埋まらない格差問題について。「身体に残された壁」では、東ドイツ時代に行われたドーピングの後遺症で、性転換手術を受けた女性スポーツ選手の話など、衝撃的なニュースもありました。
さらに、ドイツ国民へ実施した意識調査結果も興味深かったです。「ドイツは再統一を遂げたと考えるか?」という質問に対して、59%の人が「NO」。東西の住民の心の中には、まだ隔たりが残っていて、真の統一までにはもっと時間が必要なんだなということを伺い知ることができました。
過去の重い傷を引きずりつつある暗いニュースの一方で、やはり今のベルリンを引っ張っているのが“アート・カルチャーの力”なんだというのも感じることができました。世界を股にかけて活躍するデザイナーや建築家、ミュージシャンたちが集まり、盛り上がりを見せる「新生ベルリン」を象徴する建築物やアーティストたちも紹介されています。
壁が作られ崩壊されるまでの歴史、崩壊後に今なお抱える壁の問題、そして世界中が注目するアート・カルチャーシーンまで、あますところなく今のドイツを紹介している読み応えある特集で、「ドイツについてもっと知りたい」そう思うきっかけをもらいました。
その他の記事も、いつものごとく読み応えある内容が盛りだくさんだったのですが、いくつかピックアップすると、「2009年TIMEが選ぶ世界の発明品 BEST50」は見ているだけでワクワクしてくるような発明品が紹介されていておもしろかったです。
「ファッション業界の大いなる誤算」では、クリスチャン・ラクロワ、ヴェルサーチ、ウンガロなど、老舗ブランドの衰退の真相にせまる記事がまとめられていて、ファッションに興味のある女子は注目!です。
今回も、さらに視野を広げてくれた『クーリエ・ジャポン』に感謝! そろそろ定期購読しようかしら。
※この記事は、レビュー専門ブログネットワーク「R+(レビュープラス)」に参加しています。
COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン) 2010年1月号

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